【古代中国】老子の言葉【思想】其の十二

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056~060まで記録していきます。生活の知恵、座右の銘、哲学としてご参考ください。

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056 知ったかぶりをする人は本当の知者ではない

本当の知者はあれこれと言わない。

逆によく話す人は(知ったかぶりする人は)本当の知者ではない。

本当の知者は目や耳などの穴をふさいで、余計な知識や欲望が入らないように門を閉ざして、すべての鋭をやわらかくし、すべてのもつれを解きほぐし、すべての光をやわらげ、すべての塵と一つになる。

これを玄同という。

だからこうした玄同の人に対しては、親しむことはできず、かといって疎遠にすることもできない。

利益を与えることもできなければ、損害を与えることもできない。

貴んで位をつけることもできず、かといって賤(いや)しくすることもできない。

それゆえ、天下の貴い存在となるのである。

057 便利な物や技術が多く出てくると、世のなかに変なことがよく起きる

国を治めるには正しいやり方で行い、戦争をするときには奇策で行うことが肝心だが、天下を取るためには(世の中をうまく治めるためには)、何も余計なことをせず、あるがままにすることが肝心である。

私が何によってそのことを知っているかというとそれは次の通りである。

天下(世の中)に禁令が多くなればなるほど、人々はますます貧しくなる。

人々の間に便利な道具が多くなっていくと、国家はいよいよ混乱しておかしいことが起きる。

人々の間で技術が進み、多くなればなるほどいよいよ悪事や変なものも登場してくる。

法令がいよいと細かく整備されてくると、盗賊がたくさん増えてくる。

だから「道」と一体となっている聖人は言っている。

「私が無為にするので(余計なことは何もしないので)、人々は自ずと感化される。

私が静かにしているのを好むと、人々は自然と正しくなる。

私が何もしなければ、人々は自然と豊かになってくる。

私が無欲であれば、人々も自然とまだ手を加えていないあら木のように純朴となる」。

058 政治がしっかりと細かなところまで行き届くと、人々はずる賢くなる

政治が大まかでぼんやりしたものであると、人々は純朴でのんびりとしている。

政治がしっかりと細かなところまで行き届いていると、人々は余裕がなくなってずる賢くなる。

禍いは、福がよりそっており(すぐ近くにあり)、福には禍いが隠れている(すぐ近くになる)。

誰がこの極みを知ることができようか。そもそも正しいことなんて本当はわからないのだ。

正と見えることはまた奇怪となり、善と見えることもまた怪しいものとなるのである。

人がこのことに迷い始めてから、とても久しい。

それゆえ「道」と一体となっている聖人は、自分は方正であるとしても、人を裁いて自分に従わせようとはせず、自分は廉潔(れんけつ)であっても、人に廉潔さを求めて傷つけたりせず、自分はまっすぐであっても、それをどこまでも押し通さず、自分は英知の光を有していても、それを人目に引いて光り輝かすようなことはしないのである。

059 人や国を治めるには、慎ましく控えるに勝るものはない

人を治めて天に仕えるには、万事において慎ましく、控えることに勝ることはない。

慎ましく控えていること、これを早服というのである。

早くから「道」に従うことを、重ねて徳を積むというのだ。

重ねて徳を積めば、勝てないものはない。勝てないものがなければ、その力は果てしない。

その力が果てしなければ、国を保つことができる。

国を治める根本(母)を保てば、いつまでも生きながらえることになる。

根本を深く、固く張ることを、長生久視の道(いつまでもいきながらえる道)という。

060 大国を治めるのは小魚を煮るようにするとよい

大国を治めるのは、小魚を煮るようにするとよい。

「道」に従って無為で天下の政治を行うならば、鬼神もその霊力を現さない。

鬼神が霊力を現さないというより、その霊力は人を傷つけないのである。

その霊力が人を傷つけないだけでなく、「道」と一体となった聖人もまた人を傷つけないのである。

そもそも鬼神も聖人もどちらも人を傷つけないのであるから、その徳(恩恵)はそれぞれ人に集まることになる。


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